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不良の彼は 甘くて強引
第27章 柚子の過去
お節料理を前にした団欒はひとまず終わり…。お昼をすぎて少し寒さが緩和される時間帯。
柚子はふらりと家をでる。
畑道を横切る一本の道路
一台の車とすれ違った。
「……ふぅ」
寒い…
柚子は凍えた手に息を吹きかけて、周りの景色をぐるりと見回す。
冬の田舎
何もないや
確かに、物寂しい。
だがそれは別に田舎に限ったことではないし、都会はそれなりに特有のもの寂しさを有しているものだ。
どちらを好むかなんて人それぞれ。確か夏に帰ってきた時も…同じことを思ったような。
気候も
家並みも
空気も
生活リズムも
便利さも
こんなに違う。
そんなことを考えながら足を進める彼女が臨む景色の端に、なんとも懐かしい建物が引っかかった。
「……中学校」
あの時のままの校舎。