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不良の彼は 甘くて強引
第27章 柚子の過去
一瞬止まった柚子の足が、また動き出す。
“…人は同じだ ”
都会だろうと田舎だろうと…、多くの異なりこそあれ、そこに生きる"人"に違いはない。
よく、都会の人間は冷たいと言う人もいるけれど…それは間違いだと思っている。
美佳ちゃんのように面倒見が良い人も
三上先輩のように…とても真摯になって、何でも受け止めてくれるような心の広さを持った人だっている。
それに…
「……」
柚子の歩みがぱたりとやみ、振り返った彼女は再び遠くに見えるその校舎を見やった。
“ …レイプをするような人だって、どこにでもいるんだ ”
中学時代、わたしを襲った不良たち
彼等の顔が今さら思い出され、頭にこびりついて離れない。
ああ…
やっとわかった気がする。
わたしが何故、法律の道に進もうとしたのかを。
「…復讐」
そうだったんだ。
これが…
わたしにとっての復讐。
こんな言い方は、少し大げさだろうか?
力では彼等に勝てなかった。
だから、わたしは法という武器を持ってあの男たちに…
人の痛みを知らない、わかろうとしない男たちに
立ち向かうしかないと思った。
知らないうちにわたしの生き方も、彼等への恨みという感情を土台として塗り固められていた。
そしてその土台を壊すのは
とても困難なように…不可能にさえ思える。