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不良の彼は 甘くて強引
第27章 柚子の過去
『会うのはこれが最後だ』
「……」
どうしてわたしはあの日
彼の後を追うことができなかったんだろうか。
『お前のために変わってやるよ…』
彼はそう約束してくれた。
動物園では、苦手な動物たちに四苦八苦する匠さんの姿…
動揺したり、ムッとしたり、少し怖がってたり…
そんな彼にわたしはこっそり気付いていた。
これからきっと、もっと分かり合える。…そう思えてならなかった。
そうして、その夜
わたしを迎えに来てくれた彼。
扉の向こうに匠さんの姿を捉えた瞬間に、わたしがどれほど安心したか…。
真っ直ぐわたしを見つめる彼に名を呼ばれた途端
胸がつまるほどの想いに声さえまともに出せなかった。
──それなのに…わたしは…