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不良の彼は 甘くて強引
第27章 柚子の過去
立ち止まっていた柚子の足が、追い立てられるように動き出し見えない影から逃げるように速まる。
彼女の頭を支配するのは
あの時の健吾という男の言葉。
『…教えてやろうか。
あいつがどんな人間かを…──』
違う…
匠さんは違う…!!
『重要なのは、過去にあいつが何をしてきたかだ』
違うわ。大切なのは…
今の彼よ。
『まだある。他には…』
『…もう…っ…言わないで』
あの時、それ以上を聞くのを拒否したわたし。
だって、辛すぎた……。
「──…っ…言わないで…」
匠さんがやってきたことは
…わたしが恨んでいた、わたしが憎まずにいられないような、そんな行為ばかりだったから。
…辛すぎた。