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不良の彼は 甘くて強引
第28章 失った免罪符

来年も匠さんはここに来るんだって…当たり前のように思っていた。
「──…まぁ、だからって会えないような距離じゃないけどねっ」
黙ってしまった柚子を見て美佳はそう付け加える。
「そっか、…そうだよね」
「そうそう」
笑顔をみせた柚子にホッとした様子で、励ますようにぽんぽん背中をたたいた美佳はそれ以上を聞くことはなかった。
「……」
そっか、もう…
ここには来なくなるんだ。
だったらきっとアパートも引っ越すよね。
大学病院って、どのあたりだったかな…。
まぁどこにせよ。
美佳ちゃんがいうように、他県へ行くわけではないのだから特別に遠いことはない。
でも……
「きっと…会えない」
このまま…一度も話すことなく別れたら、匠さんとは二度と会えない。
そんな気がする。

