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不良の彼は 甘くて強引
第28章 失った免罪符
「…何をそれほど取り乱す…」
抱きしめられた柚子と
抱きしめる匠の間
挟まれた紙袋がクシャッと音をたてながら潰れていく。
柚子の抵抗が少しずつ収まってきた。
「返したくないです…!」
「…そんなものを持っていて何の意味があるんだ」
「……」
「形見にでもする気か…」
「そんなのいや…」
まるでそれは、玩具売場の前で駄々をこねる子供のような…。
両腕で抱きしめたまま、彼女の耳元に囁いた。
「…お前が辛くなるだけだ」
「……」
「俺に返せ…」
匠の身体がゆっくりと離れ、動かなくなった柚子から紙袋を受け取る。
床に落ちた彼女の鞄を拾うと横の机に置いた。
「……」
そして匠は、俯いた柚子の頭に静かに手をのせて言った