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不良の彼は 甘くて強引
第28章 失った免罪符
「……!?」
理由はそれだけではない…
彼女の気持ちだけが原因ではない。
「何が言いたい…」
翔の言葉に、ここで匠は初めて振り返った。
壁にもたれたその男とバチリと目が合い、互いに穏やかでない空気が辺りを包む。
「…あの子のために、自身を改める……」
「……」
「君にとってそれは、かなり酷なことのように思える」
確かに、" 変わること " 自体の難しさもそこにはあるだろう。
生き方を改めるという事は口で言うほどラクじゃないからだ。
だが、ここにもうひとつ
市ノ瀬には避けられない壁がある──
「変わることとは…、自身の過去の行為を否定し正そうとすること…」
「……」
「過去の否定とは、罪としての認識……」
そして君は今
その過程から目を背けるための権利を失ってしまった。
柚子という女性を本気で愛することによって。