この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
不良の彼は 甘くて強引
第29章 天秤にかける



ガラッ……



小さく音をたてて開けられたドア。


微かに暖房で温まった…その部屋に入った翔は、中の様子を一瞥した。


一見、誰もいない。


「……柚子」


そんな中に、奥の列に無造作に置かれた彼女の鞄があった。



「……」

その場所へ近づいてみると、席の間にペタリと腰を下ろした柚子の背中が見える。

──その背中が時折、小さく鼻をすする音に合わせてピクリと動いていた。



「…柚子ちゃん?」

「…!?」


驚いて顔を上げた彼女の背後から、その肩を抱きしめた翔。


片膝をついて、柚子の身体を包み込んだ。



「──…!?…先輩…っ?」


匠とはまた違う低音の…柔らかな声色。

自分を包んだその腕に戸惑いながら、柚子は彼の顔を見ることもできずに言葉を失っていた。



「今回は、事情を話す必要はない……」

「……!」

「大体の事はわかった」


彼女を抱きしめる力を少し抜いて囁く。



「……」

なんで、先輩が…?ここにいるんだろう。



「……っ…」


後ろを振り返った柚子の、目の前にある可憐な唇

涙の筋が跡になったその頬と、自分を見上げる無垢な瞳


抱きついた翔の方が、その距離感にたじろいてしまう。



“…不味いな ”


──この状況

このまま彼女の唇を塞いで押し倒してしまいそうだ。



/694ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ