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不良の彼は 甘くて強引
第29章 天秤にかける
「──…というより、君の迷いに答えを出すのは無理があるように思える」
「……?」
翔はあいている方の手で柚子の肩を掴んだ。
「君はやっぱり…少し柔軟さに欠けるね。……何故どちらかが間違っていて、どちらかが正しいと考えるんだ?」
「……!?」
「どちらを選択しても……必ず何かが傷を受けることになる」
昔似たような話を…したはずだよ。
「君はいつまでそれから逃げるつもりだ…」
柚子はその、なにか怒っているようにも見える翔の雰囲気に…今までと違う彼の様子に、身体を小さくして戸惑う。
「……、…ごめん」
棘のある言い方になったね
翔は彼女の肩を離して謝った。
「……」
「俺が、君に教えれることなんて何もないよ」
「…そう…ですよね」
落ち込んだ彼女の声が廊下を控えめに吹き抜けた。
翔は取り乱した自分を反省するように、額に手をあてて溜め息をつく。
「だけれど…」