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不良の彼は 甘くて強引
第5章 なぜここにいるの

「なにを……ッ!!」

匠は彼女の肩を鷲掴み壁に押し付ける。

そして前屈みになって彼女と目線を合わせた。


「大声を出すな……」


匠の声の種類が変わる。


怯えた目の柚子は、唇を噛んでその凄みに耐えていた。



「お前が何に腹を立てているのか知らないがな…、 あまり、俺の機嫌を損ねるな」


強く掴まれた肩が小さく震えだす。


匠は彼女のマスクを取り去った。




「俺は生意気な女はごめんだ…従順な方がいい」



口の端で男は笑う

だがその目は依然として冷徹だった。




「大人しくしておくんだな…──お前の友人のためにも」

「え……っ!?」

「大切な友人を、自分と同じめに会わせたくはないだろうな」



信じられない…!!!

なんて、卑怯な──




わかったか……

そう念を押す匠に
柚子は弱々しく頷いた。



あまりにも理不尽だった。


“どうしてこんな事に……”


この男は

わたしにいったい何を求めているというのだろうか

わたしを

どうしたいの──?




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