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不良の彼は 甘くて強引
第30章 君、想い…



──…




帰りの新幹線で

柚子はずっと眠っていた。


行きの時は一睡もせず、不安そうな面もちで窓の外を眺めていた彼女。

まるでそれから解放されたように、今の柚子はぐっすりと眠っている。


今思えば──

彼女はずっと、まともに睡眠をとれていなかったように思える。


それはいつからだろう…

匠に別れを告げられた時か、もっと前…

匠の父親の真実を知った時からかもしれない。


匠のことを想うほどに、それだけの不安や胸の苦しさに耐えてこなければいけなかったから。




「……」


彼女の隣で、その穏やかな寝顔を覗き込んだ翔はクスッと笑う。


──とても愛らしい寝顔だった。




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