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不良の彼は 甘くて強引
第30章 君、想い…
数時間後、二人はもとの駅に帰ってきた。
眠った柚子を起こし、まだうとうとしている彼女とともに新幹線を下りる。
柚子はこれから、アパートに帰るべくもう一度電車に乗らなければいけない。
──長く歩かせたから疲れてしまったかな?
そう言った翔は、どうしたものかと辺りを見回す。
ここで帰す予定だったけれど…また電車に乗るのはもっと疲れるかもしれない。
ちょうど車で来ていた翔は、彼女を家まで送ろうかと提案した。
「……でも」
そこまで世話になっていいものかと初めは躊躇した彼女も、その好意に甘えることにした。
────
だいたいのアパートの住所を聞き、翔はその場所へ車を向かわせる。
車内には、アップテンポのピアノ独奏曲が心地よく流れていた。