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不良の彼は 甘くて強引
第30章 君、想い…


「……」


首だけ左に回し、自分の隣で何の警戒も見せず眠る柚子を見つめた。


しばらく前に車が止まったことにも気づく様子は全くなく、ただ…小さな寝息とともに肩を上下させている。




「…いいのかい?そんなに無防備な姿を…俺に見せても」


俺は君の思っているような人間じゃない。

君に焦がれるあまりその身体を夢に見てしまう、最低な男だ…。



「……」


その肌に、その唇に…
触れたくて仕方がない。



「こんな俺を君は…警戒したことがあるかい…!?」



先輩ではなく、ひとりの男として──

君に一方的な想いをよせる
ただの愚かな人間として

俺を意識したことがあるのだろうか。






「…君が欲しい…っ…」

「……」

「このまま市ノ瀬に…渡すことができないんだ…ッ」







……スー、…スー







──運転席から身を乗り出した翔は軽く閉じられた彼女の唇に…


…そのまま口付けを落とした。










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