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不良の彼は 甘くて強引
第30章 君、想い…
その震えが翔にも伝わる。
「…俺が怖いの?」
「…っ…」
「それが正しい…」
君はもっと警戒すべきだった。
「…せめて警戒だけでも…して欲しかった」
「…あッ…」
身体の前で組まれていた柚子の手をとり、翔はそっと口付けをする。
柚子は固まったまま
まともに抵抗もできなかった。
何故なら──
目の前の彼は、とても苦しそうで…
その表情は、今にも涙が零れそうな程の哀しみに満ちていたから…──。
「…先輩…!」
「──…君が好きだ」
「……っ」
「俺のものになってくれ…!」
座ったまま、翔は彼女を抱き締める。
今までの…柚子を慰めるためのものとは違う。
愛しい女が離れていくのを恐れる切ない男の、実に感情的な抱擁だった。