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不良の彼は 甘くて強引
第30章 君、想い…
何もかも全部
わたしの我が儘が引き起こしたことだ。
「…ハァ…」
柚子は一度、深く呼吸をした。
そして、少し間をおいて口を開いた。
「わたしはずっと先輩に惹かれていました…っ」
「……っ」
「でも」
柚子の語尾が僅かに上がる。
「わたしが好きなのは先輩じゃない…!」
「──…」
「匠さんなんです…!」
もっと早く、伝えないといけなかったのに
「…言えなかった…!」
中途半端な自分の態度が
こんなにも、この人を苦しめていたなんて…。
ここまで追い詰めてしまっていたなんて…。
「……だって先輩が…、本当に、本当に優しかったから…っ…──」
「……」
「寂しい時に、側にいてくれたから…!」
「──…わかった」
「……っ…」
「…それ以上は、何も言わないでくれ……!」
翔は、柚子の言葉を震える声で遮ぎった。