この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
不良の彼は 甘くて強引
第31章 それぞれの選択
匠は軽く舌打ちをする。
修一の野郎…!
だが確かに、あいつは叩けば叩くだけホコリがでてくる。
「お前も随分…ワルになったな、正義面男」
「…正義面男って…っ」
また嫌みなあだ名を…
皮肉っぽくそう言った匠に翔は顔をしかめる。
ボールを構えると、ゴール下からもう一度投げ込んだ。
「…もう、俺はやめることにしたんだよ」
「……?」
「…理屈っぽく考えるのも、君や彼女を説得しようと…上手い言い回しを考えるのも」
「……」
「道徳的にどうだとか、そういうのも全部ね」
──結局、何の役にもたたなかったから。
「…俺は、初心に帰ることにしたんだ」
「……? …何だそれは」
匠はいぶかしげに、ボールを構えたまま上を見上げる彼に聞き返した。