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不良の彼は 甘くて強引
第31章 それぞれの選択



「俺を殴りたくはならないのかい」


「……」




…夜のバスケットコート。

互いの表情はよく見えない。

そんな中で、タイプの違う二人の美形が無言のまま向き合っていた。




「…俺に」


先に言葉を発したのは匠。


「…そんな権利はない」


もうあいつは俺の女ではない

すでに解放した──




「……」



これは必然


俺が柚子を手放した時点で、遅かれ早かれこうなるのはわかっていたこと。


別の男が、柚子の唇に──

あいつの肌に──


…触れることになる。



こいつはつくづく気に喰わないが…どこぞの男共よりは、マシだ。



「…ふっ、…俺は柚子の父親か何かか?」



勘弁してくれ。


俺はただの、あいつを犯して執着した…どこぞの…不良。



出会いの瞬間から俺達の関係はすでに歪んでいた。






…遠い目をした匠は

彼女との日々を思い返す。




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