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不良の彼は 甘くて強引
第31章 それぞれの選択
匠の選択は、向かい合う翔を動揺させる。
「…彼女はどうするつもりなんだ」
「……」
「柚子の思いは?どうなる……──!?」
「…あいつには…すまないと思っている」
巻き込んだばかりに
多くの傷を残してしまった。
「彼女が、また泣くぞ…」
「……そうかもしれない。だからお前が代わりに柚子の側にいろ」
「…なんだって…?」
「柚子にはお前が必要なんだよ」
「……!」
平然と答えた匠に、ボールを持つ翔の手に力が入り…言葉を失った唇は固く引き結ばれた。
それほどまで、柚子を避けなければいけないのか。
それほどまでに深い君の罪は、拭われることを赦されないのか。
「…俺はあいつから逃げる」
柚子を愛せば愛すほどに
…共に生きるという選択肢は遠のいていく。
決してほどけることのない
難解に絡まり合ったジレンマ。
…匠はそれに苦しんでいた。