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不良の彼は 甘くて強引
第31章 それぞれの選択
「…彼女には会わずに行くのか」
「……」
最後に会ったとしても
互いに辛くなるだけだろう。
どこからか…車のクラクションがひとつ大きく鳴っているのが聞こえた。
遠くに響くその音がかえって
二人を包む沈黙の深さを引き立てていた。
翔は首の後ろに手を回し、軽く掻きながら口を開く。
「彼女は君のことを…」
…途中で言葉は途切れた。
歯を噛み締めてぐっと堪えた彼は、少し間を置いて言い直す。
「…いや、何でもない。それより…、やっぱり俺とひとつ勝負をしてもらうよ」
「……?」
「勿論バスケで」
「何を賭ける…?」
意味がわからず立ち尽くす匠に、翔はボールを投げてよこした。