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不良の彼は 甘くて強引
第32章 湧き立つ想い




.....




「……茶髪」


「…なんだい」


「一発、殴らせろ」


「…!」





翔の答えも待たず


ドスッという鈍い音とともに


翔の脇腹に匠の拳が強くいれられた。




「……っ…!!…手加減なしか……ッ」



翔の身体が前屈みになり
片膝をついてその場に崩れる。



「……」


匠は彼の腕を掴んで強引に引っ張り上げ、よろける翔に肩を貸した。



半分引きずるような形で…コート隅にあるベンチに翔を連れてくると、彼をそこに座らせた。



「…大丈夫か」


自分が殴っておきながら…
匠はそう尋ねる。



「…失恋の痛みに比べたら可愛いものだ……って言いたいところだけど…、……っ…やっぱり本気は酷いな…」


「…、悪い」


「…まぁ、構わないよ…」



脇腹を押さえたまま痛みに顔を歪める翔は、自分を見下ろす匠になんとか笑みを作ってみせた。




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