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不良の彼は 甘くて強引
第32章 湧き立つ想い

匠が柚子の前から消えなくてはならない時
それは、彼女の口から
赦しの言葉が出た時──
「…どうなんだ」
匠が一番恐れること。
それは、柚子が己の過去を赦すこと。
彼女によって救われること…。
「お前は…俺のやってきたことを認めるのか」
「…っ…」
柚子の信念が
自分によって曲げられることだけは…
匠には我慢ならない。
そうなることが何よりも恐ろしかった。
「答えろ」
目を逸らした柚子の顔を覗き込んだ匠は、彼女の答えを待った。
今の彼は…
判決の読み上げを待つ被告人といったところだろうか。
だがどんな判決が下ろうが
彼が柚子とともに生きる選択肢はなかった。
ならばせめて…──
お前は自分の意志を貫け。
俺の罪を憎むお前の心は
正しいのだから…。

