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不良の彼は 甘くて強引
第33章 甘くて、強引

匠はその部屋を黙って眺める。
その場所は…
柚子の香りでいっぱいだった。
強すぎず、しつこくなく
ほんのりと甘く香る…。
匠は部屋の中心に置かれた小さなちゃぶ台に目を落とす。
大学のノートだろう
それらがいくつも無造作に置かれ、比較的片付けられた部屋の中でそこだけがどこか慌ただしかった。
「あ、散らかってますけど気にしないで下さい…!」
「……」
「今日は…たまたま忙しくて…」
匠の目線の先に目をやった柚子は恥ずかしそうに弁解する。
匠は腕の中の彼女に目をやった。
「……///」
バチリと目があい柚子は思わず顔を伏せる。
…それでも彼女の腕は、匠の肩に回したままだ。

