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不良の彼は 甘くて強引
第33章 甘くて、強引

隅に置かれた、匠のものより一回り小さなベッド。

匠はそこの縁に柚子をそっと下ろして座らせた。


そうして彼女の足元に片膝をつき、俯くその顔を覗き込む──




「…寝れていないのか」

「……?」


柚子は驚いて顔をあげた。


「どうして…?」

「くまができている」

「……!」


普段とは異なる、下から見上げてくる彼の…その眼差しが、柚子の心をかき乱した。



まだ乾ききらぬ彼女の黒髪に手が伸ばされ、頬にかかったそれを耳にかけられると

…現れた柚子の耳が赤く染まり始める。




「大学の課題が多くて…っ」

「……」


とっさに言い訳する柚子を
匠はじっと見つめた。



「……っ」


「……」


「嘘です、本当は…」


「──…」


「匠さんの事を…考えていて」


彼女の声が
控えめに匠の耳に届く。



「…もう二度と会えないかもしれないって思ったら…!!」


怖くて…寝れなかった。





「……」


それを聞いている間、匠の燃えるような瞳は彼女を捉えて離さなかった。



…匠の指が柚子の頬に触れた後、そのまま下唇を優しくなぞった。




「…目を閉じろ」


「…っ…」



彼の顔が近づき

その唇に匠のものが押しつけられる。








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