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不良の彼は 甘くて強引
第34章 もう一度…
それから匠は
女の中に出すのをやめることになる。
…それは、その女性への申し訳なさや、中絶させたことへの罪悪感からではない。
当時の彼はそんな罪の意識など欠片も感じることはなかった。
ただ、その──
自らによって、この世に宿った命。
そして…産まれることを許されず母体の外へと取り出された
自分が殺した…
その小さな生命に対してだけは
なんの憎しみも蔑みも
彼は持ち得なかったのだ。
そしてそれ以来、彼は変わった。
だからといってレイプをやめるわけでも、避妊具を使うわけでもない。
ただ、中にだけは出さない。
其れだけが…
恨みと欲に溺れた彼の、たったひとつのモラルだった。