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不良の彼は 甘くて強引
第34章 もう一度…
それは紛れもなく柚子のため
彼女を大切に想うがゆえ。
そして、そうした匠の想いは
きちんと柚子に伝わっていた。
「──…」
だから彼女は涙ぐんだ目を細めて、幽かな笑みを口元に浮かべて…
ありがとう…
そう、聞こえるかどうかの大きさで口にしたのだ。
「…感謝…しておけ…ッ」
「……っ」
彼の言った捨て台詞に
柚子はコクリと頷いてみせる。
「…はぁ…──」
それを見届けた匠は柚子の横に倒れるように崩れた。
ベッドに身を倒し、仰向けになる。
「ん…」
柚子は横の彼に身体を向けるとその胸板に額をピタリとつける。
「……ふっ…」
その甘えるような彼女の態度に、匠の口角が思わずあがる。
彼はそっと柚子を両腕で包み込んだ。