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不良の彼は 甘くて強引
第35章 エピローグ
ひとしきり話し終わった柚子は、夢中になっている自分にはっとする。
「…っ…あ、いけないッ。今はわたしの話なんかどうでもいいんでした」
「何故だい?…とても聞いてて楽しかったよ」
「…だって今日は、先輩のお祝いに来たのに…」
「……」
そう、今日はおめでとうを言いに来たんだから…!
脇道それたらいけないわ。
「…司法試験合格!! おめでとうございますっ」
「…ッ…柚子ちゃん、声が大きいよ…っ」
「…はっ…、ごめんなさい」
慌てて口に手を当てる柚子。
焦った翔は周りを見渡す。
「えーっ、すごい…、あの人司法試験に受かったんだ」
「じゃあ頭もいいのね~…ああ…、格好いい~」
「え?なら弁護士?」
コソコソとした…
ただ間違いなく黄色かなにかの話し声が
翔の背中にふりかかる。
「……」
「本当にすみません…お店、変えますか?」
「…いや、構わないよ」
なおも優雅に椅子に腰掛ける彼は、気まずそうに笑いながらもやはり嬉しさは隠せないよう。
くるりと後ろを振り返り声の主たちに目をやると、店内が僅かにざわめきたった。