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不良の彼は 甘くて強引
第7章 愛か怒りか苛立ちか
玄関に入るなり雑に靴を脱ぎ捨てリビングへと彼女を運ぶ。
そしてソファーの中へ柚子を放り投げた。
「きゃああ-ッ!」
驚くほどの雑な扱いに柚子は悲鳴で応える。
“これ……いったいどういう状況なの?”
柚子は戸惑っていた。
あの時──
沼田という男が去った後
部屋に入ってきた彼の姿。
「………う」
上手く思い出せない…
けど、
彼の背中に身を任せる内に、その背中の温かさに大きな安心感を抱いたわたしがいた。
何も言わない優しさが…心に深く沁みた。
なのに
今、こうしてわたしを見下ろす彼は、全然違う…
「服を脱げ」
「………いやです」
「風呂に入れる、服を脱げ」
「……いや!!」
「…俺に逆らうなと言った筈だが?」
………!!!
そうだった
彼は友達を盾に、わたしを脅している
そういう人だった。
匠は柚子の目の前で自らの服を脱ぎ始めた。
柚子は恥ずかしさに思わず顔を伏せ、諦めたように自ら服を取り去っていく。
そして
一糸纏わぬ姿となった二人の影は、バスルームへと消えていった。