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不良の彼は 甘くて強引
第8章 S彼とお出掛け


その時、部屋の呼び出し音が鳴った。

濡れた髪をタオルで拭きながらモニターを覗く匠。


「ああ、入っていいぞ」

そうして何かボタンを押した。



“え…っ、今もしかして、エントランスの鍵を解除したんじゃ…!? ”



少ししてドアをノックする音が


「おい、着たぞ」

どこかで聞いたことある声。

すると匠はその人物を出迎えに行く。


「ちょ、ちょっと待って!!」

わたし服着てないし!


彼女の訴えは無視され、匠はお構いなしにドアを開けた。




「早かったな、修一」

「まぁな」

「──…!!」


よりによってどうしてこの人なの--!!?



“ああもう どうしようどうしよう……”



その男は当然のごとく部屋に入ってきた。

ベッドの上で縮こまった柚子は、布団を顔までたくし上げ蒼白となっていた。


この人には見覚えがある

わたしが思いっきり投げ飛ばした男だ。


「なに隠れてやがる」

とっさに布団を頭から被る。


「安心しろ、修一は女に暴力は振るわない」


「・・・」


レイプは立派な暴力です!!



「ったく、せっかく服届けてやったのによー」


・・・・・?


「服?」

布団から顔だけ出す。


修一が鞄から取り出したのは、スカート、シャツ、と、下着


要するに、先程の電話の相手は彼だったようだ。

服の無い(捨てたのは匠だが)柚子のために、女物の服を届けさせたということ。



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