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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第16章 媚薬
麻薬に近いもので多量に飲むと、幻覚症状を起こすほどの強烈な成分をもっている。

当然の事ながら、政府の認可はおりていない。

表立っては売れない商品なのである。

能力が衰えた中高年に評判が良く、口コミとねずみ講によってかなり売れていたのだ。

秘密クラブではこの薬を混ぜた飲み物を出し、客の興奮を誘っている。

ショーに出る女達も飲まされ、隠微な痴態を惜しげもなく晒しているのだった。

それを二人が飲んでいる。

効果が現れているのが、竹内には手に取るように分かっていた。

香奈子も圭子も、目が潤みがちに妙に艶めいてきたように見える。

(そろそろ、か・・・・)

二度目の訪問で確信を得た竹内は、遂に決行したのだ。

より強い薬を手品まがいの余興にかこつけて、グラスに入れたのを香奈子は気づきもしないで飲み干してしまった。

そして晴彦には、別れ際の乾杯の時を狙って睡眠薬を飲ませた。

それまでの量を遥かに超える強烈な媚薬の効果に、香奈子は一晩中、悪夢にうなされる事になった。

身体を熱く火照らせるむず痒い疼きに、夫のベッドへと身をよじらせたのだが、熟睡する晴彦は一向に起きる気配が無かった。

(そ、そんな・・・ひどい・・・)

これほど夫の事を恨めしく思った事は、かつて無かったかもしれない。

強引に起こしてまで想いを遂げよう等とは、プライドの高い香奈子に到底出来ない事だった。

そんなはしたない事をしたら、死んだ父だったら何と言うか考えただけで恐ろしいと思う香奈子は、唇をかみ締めて自分のベッドに戻った。

湧き上がる欲情に戸惑いながら長い夜を過ごした香奈子は、身も心もクタクタになっていた。

敏感になった身体は些細な事にでも反応し、物が触れただけでもビクンと電流に似た刺激が走る気がした。

だから、なお更の事、竹内に出て行ってもらいたかったのである。

こんな状態で夫以外の男と二人きりで家の中にいるのが、いかに危険だという事は自分でも十分に意識していた。
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