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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第18章 視線
そんな自分を焦らすかの如く、語り始めた。

「十七年だ・・・・」

男から少しでも離れようと、ソファーの背に逃げようとする香奈子を押さえつける手は、力を入れている様子もなく口調も穏やかだった。

「俺は、あんただけを思い続けて生きてきた」

理不尽な状態での告白は香奈子の胸を打つ訳もなく、かえって恐怖を増していく。

そんな事は男にはわかりすぎる程の事だったが、竹内はやめようとは思わなかった。

どちらにせよ、言葉で女を落とせる程、魅力などありはしない。

だが、長年胸に秘め続けてきた想いだけは、今のうちに吐き出しておきたかった。

勿論、純粋な恋心とは到底言えないものである。

結婚しなかっただけで何人もの女と付き合い、捨ててきた。

だが香奈子を想う気持ちは、ある種の執念をもって続けられてきたのである。

それを今、宣言しておきたかったのだ。

「あんたを奪い、俺のものにする」

「や、やめて・・・やめてください」

おぞましい申し出を香奈子が受ける筈もなく、ひたすらこの場から逃げたいと願っていた。

「あんたを自由にしてやるぜ」

だから、的を外れたような言葉に最初は反論する気も起きなかった。

「あんた・・・気持ちを、休んだ事がないだろう?」

(えっ・・・?)

予想もしない事を言われ一瞬、力を緩めた。

「矢島家の一人娘として、気を張って生きてきて、疲れていないのか?」

(な、何を言ってるの、この人・・・?)

「うっ・・・・」

否定しようとするのだが、核心をつかれ声を詰まらせた。
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