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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第37章 愛情
「うん・・・」

華やいだ香りを心地良く感じながら目を閉じていく。

(ママ・・・)

透通る瞳の残像を目蓋の裏に焼付けている。

(あったかい・・・)

抱きしめる温もりを逃すまいと、身体をしがみつけている。

「大好き・・・ママ・・・」

愛おしい呟きが、耳元に響く。

母は何も言わず、抱きしめる力を強めてやった。

「マ・・・マ・・・」

途切れる声と共に眠りに落ちていく圭子は、薄れゆく意識の中で言い出せなかった言葉を呟いていた。

(どこにも・・・行かないで・・・)

「圭ちゃん・・・」

眠った事を確認した後も、香奈子は暫くベッドから動かなかった。

娘の寝顔を食い入るように見つめている。

「愛しているわ・・・」

今ひとときの幸せを逃すまいと、愛の言葉を何度も投げている。

「ごめんね、圭ちゃん・・・」

切ない声で呟いた。

遂、この間までは何でもなかったのに。

あの男が来るまでは。

まさか、自分があれ程の地獄を味わうとは考えもしなかった。

香奈子の脳裏に、忌まわしい記憶が蘇っていった。
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