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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第81章 終章
このままではいけない。

香奈子は日本を離れる決心をした。

夫である晴彦は殆ど家に帰らなくなっていた。

竹内があてがった女によって明らかに変わってしまったのだ。

矢島家の婿としての長い間鬱積した重圧から逃れたかったのだろうか。

会社にも出社せず、どこかに行方をくらませていた。

この間、連絡があり泣きそうな声で謝っていた。

『スマン・・・でも、ダメなんだ』

『あなた・・・』

晴彦の苦しみが香奈子には理解できた。

皮肉な事に竹内に犯され淫乱に調教されたために、香奈子も矢島家の重圧から解放されたのだ。

引き止める事は出来なかった。

自分も、圭子さえもが汚されてしまったとは、さすがに言えない。

矢島家は崩壊したのだ。

笑顔に満ちた朝食の時間は決して戻らない。

オーストラリアの高校に留学させた圭子と共に、香奈子もシドニー移り住んだ。

郊外の大きな屋敷を買い取るなど、矢島家の財力を持ってすれば容易い事だった。

二人を知る者が誰もいない新天地で圭子も心を解放させた。

だが、何度も悪夢にうなされる度に母を求めた。

最初は拒もうとした香奈子だったが、かえって過去を忘れるために敢て受け入れる事にした。

愛し合う事で、忌まわしい記憶が浄化されるような気がするのだった。

事実、徐々に圭子や自分の気持ちも落ち着いてきていた。
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