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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第14章 二度目の訪問(第三部)
夫とはここ何年かは、数える程しか愛し合ってはいない。

元々淡白な性格なのか、晴彦は妻に対してセックスを強要する事はしなかった。

何か常に遠慮している様子は気にはなっていたが、早く子供を生んだせいもあって娘の成長の方に香奈子の関心は向いていたし、躾の厳しい父と同居していた事も原因の一つかもしれない。

晴彦との夜の営みは、父や娘に気づかれぬよう粛々と行われた。

灯りも無い、真っ暗な部屋でするそれは一種の儀式のようなもので、余り楽しい思い出は無かったが、夫の腕の中で愛の温もりを感じているだけで香奈子には十分な気がしてもいた。

しかしセックスの喜びを知らないまま歳を重ね、気がつくと34歳になっていた。

その事を意識するようになったのは、竹内が尋ねてくるようになってからだった。

『いやー、勿体無い・・・・奥さんはもっと外に出るべきですよ。すれ違う人が思わず振り返りたくなうような美女なのに立花・・・今は矢島か・・・。こいつだけに仕えて主婦で人生を終えるなんて、ないですよ本当』

見え透いたお世辞とは分かっていても、誉められると心が浮き立つような気がする。

『奥さん程の美人は、他には見た事がない』

レモンティーを口に含む度に竹内の顔が目に浮かぶのだが、自分を見る目付きにギラツイタ欲望をあるようで、背筋がぞっとするのは否めない。

昨夜は特に馴れ馴れしい口調で手に触れようとされたりして、非常に疲れたのだ。

「ふぅっー・・・・」

大きなため息と共に席を立ち、薬箱から鎮痛剤を取り出すと、冷たいミネラルウォーターで喉に流し込んだ。

清涼感が身体を通りぬけ、いくらか気分が良くなった。

だが、身体に残る疼くような火照りは、おさまりそうもない。

「わたし・・・どうしちゃったのかしら?」

呟く香奈子の瞳は、潤み勝ちに宙をさ迷っていた。

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