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嵐の夜に痕をつけられて
第3章 先輩と暗闇と雨 ★
私は今、暗闇のオフィスで相沢さんの腕の中にいる。
背中と腰に回る両手が力強い。
左肩に乗る顔が熱い。
どうしてこんなことになっているのか分からない。
「あ、の、相沢、さん?」
「泣いてたのはさっきの二人のせい?」
「えっ」
「あの二人が一緒にいるところを見たのか?」
息が詰まる。その通りだ。
一緒にいるだけならまだいい。
亮太の本音を聞いてしまったからだ。
別れた女はつまらない女だったと言う元彼とそれを笑う年下の若い女。
惨めな自分を知らない所で突きつけられたのだ。
再び涙が滲んでくる。
人の温もりを感じていると余計に次から次へと溢れてくる。
悲しい、虚しい、寂しい。
自分は一生こんな思いを抱えて一人で生きていくのだろうか。
「うっ……」
涙は小さな嗚咽に変わる。
もう止められない。
「田上が好きだった?」
黙って何度も頷いた。
好きだった。大好きだった。
一緒にいたかった。
あんな人に私もなりたかった。
私の隣にもう彼はいない。
もしかしたら隣にいたと思っていたのも私だけだったのかもしれない。
「浮気されてたのに?」
小さく頷いた。
そんなこと知ってる。
今回が初めてじゃないことも、私の存在を知ってて近づく女の子がいたことも。
亮太の彼女でいられるなら都合のいい女でもよかった。
「二年もよく頑張ったな」
相沢さんの腕に力が入る。
大きな身体に包まれてどんどん力が抜けていく。
背中を撫でる手が優しくて、とうとう声を上げて泣いてしまった。
相沢さんは黙って抱き締めてくれた。
外はもう土砂降りの雨。
私の声は雨音に掻き消された。
背中と腰に回る両手が力強い。
左肩に乗る顔が熱い。
どうしてこんなことになっているのか分からない。
「あ、の、相沢、さん?」
「泣いてたのはさっきの二人のせい?」
「えっ」
「あの二人が一緒にいるところを見たのか?」
息が詰まる。その通りだ。
一緒にいるだけならまだいい。
亮太の本音を聞いてしまったからだ。
別れた女はつまらない女だったと言う元彼とそれを笑う年下の若い女。
惨めな自分を知らない所で突きつけられたのだ。
再び涙が滲んでくる。
人の温もりを感じていると余計に次から次へと溢れてくる。
悲しい、虚しい、寂しい。
自分は一生こんな思いを抱えて一人で生きていくのだろうか。
「うっ……」
涙は小さな嗚咽に変わる。
もう止められない。
「田上が好きだった?」
黙って何度も頷いた。
好きだった。大好きだった。
一緒にいたかった。
あんな人に私もなりたかった。
私の隣にもう彼はいない。
もしかしたら隣にいたと思っていたのも私だけだったのかもしれない。
「浮気されてたのに?」
小さく頷いた。
そんなこと知ってる。
今回が初めてじゃないことも、私の存在を知ってて近づく女の子がいたことも。
亮太の彼女でいられるなら都合のいい女でもよかった。
「二年もよく頑張ったな」
相沢さんの腕に力が入る。
大きな身体に包まれてどんどん力が抜けていく。
背中を撫でる手が優しくて、とうとう声を上げて泣いてしまった。
相沢さんは黙って抱き締めてくれた。
外はもう土砂降りの雨。
私の声は雨音に掻き消された。