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嵐の夜に痕をつけられて
第4章 つけられた痕
結局、あれから一時間ほど小雨になるのを待って、相沢さんの車で自宅まで送ってもらった。
私が相沢さんの方を全く見ないので、彼は気を遣ったのだろう。
仕事や亮太のこととは全く関係のない話をした。
私は自分がやってしまったことの恥ずかしさのあまりほとんど話せなかったので、話をしたというよりは相沢さんの独り言をただ聞いていたに近い。
それでもさっきまでの出来事が、なんでもなかったことのように感じるには十分だった。
あまりにも今まで通りに接する相沢さんを見て、私に経験がないだけで大人の世界ではこういうこともあるのかもしれないという気さえしてきた。
キスをした。ただそれだけ。
なんてことない。
アパートの前で相沢さんの車から降りるときには冷静さを取り戻していた。
「送ってくれてありがとうございました」
「どういたしまして」
「それじゃ、失礼します」
ほら、ちゃんと話せる。大丈夫だ。
ドアを開けて降りようとしたときだった。
「立川、ちょっと待って」
「はい?」
相沢さんの方に振り向くと、助手席へ乗り出した相沢さんに後頭部を掴まれ、そのままキスされた。
もう慣れたと言わんばかりにスルリと侵入し、私の舌をひと舐めすると、
「ちゃんと忘れろよ。おやすみ」
と言って小さく笑った。
初めてこの人が笑うところを見た。
私が相沢さんの方を全く見ないので、彼は気を遣ったのだろう。
仕事や亮太のこととは全く関係のない話をした。
私は自分がやってしまったことの恥ずかしさのあまりほとんど話せなかったので、話をしたというよりは相沢さんの独り言をただ聞いていたに近い。
それでもさっきまでの出来事が、なんでもなかったことのように感じるには十分だった。
あまりにも今まで通りに接する相沢さんを見て、私に経験がないだけで大人の世界ではこういうこともあるのかもしれないという気さえしてきた。
キスをした。ただそれだけ。
なんてことない。
アパートの前で相沢さんの車から降りるときには冷静さを取り戻していた。
「送ってくれてありがとうございました」
「どういたしまして」
「それじゃ、失礼します」
ほら、ちゃんと話せる。大丈夫だ。
ドアを開けて降りようとしたときだった。
「立川、ちょっと待って」
「はい?」
相沢さんの方に振り向くと、助手席へ乗り出した相沢さんに後頭部を掴まれ、そのままキスされた。
もう慣れたと言わんばかりにスルリと侵入し、私の舌をひと舐めすると、
「ちゃんと忘れろよ。おやすみ」
と言って小さく笑った。
初めてこの人が笑うところを見た。