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嵐の夜に痕をつけられて
第8章 エピローグ
「恵、そろそろ起きろ」


そう呼ばれて目を開けたはいいものの、目の前の現実を受け入れるのに思考が止まる。

私を恵と呼ぶその人は一糸纏わぬ会社の先輩。

え、あれ、なんで。
あ、そうか昨日……昨日!

昨日の一連の出来事が一気に蘇って思わず掛けられた布団を頭まで被る。
どうしよう。
恥ずかしくてここから出られない。


「一回家に帰らなくていいのか? 
 今出れば車も少ないし送っていけるから」


そう言われて一気に目が覚めた。

そうだ! 着替えなきゃ! 
ついでにシャワーと、化粧をし直して……

そう考えながら布団から顔を出すと、目の前には相沢さんの顔があった。


「よし、起きたな。恵おはよう」

「お、おはようございます……」

「早く準備しろ。
 家に寄ったらそのまま会社まで乗っけてってやるから」

はい、すぐに準備します。
だからとりあえずアナタは部屋を出て下さい、とは言えない。

布団の中でモジモジしていると相沢さんはもどかしくなったのか私が被っている布団に手を掛けた。


「往生際が悪いぞ」


そう言って一気に布団を剥がされ、朝日が差し込む明るい部屋に身体が晒される。


「きゃあ! ちょっと、見ないでください!」

「昨日散々見せといて何で今更恥ずかしがるんだよ」

「そういう問題じゃないんです!」

「中途半端に隠すなよ、煽ってんのか?」

「あおっ……!」


煽ってなんかいない。早く服を着たいだけだ。
あと顔が近いです、ちょっと離れて下さい。
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