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嵐の夜に痕をつけられて
第8章 エピローグ
ここは真剣に答えなければ。
恥ずかしさを飲み込みながら身体に巻きつく手を払い、相沢さんに向き直った。
顔を上げると不安そうな顔が私を見下ろしている。
どんなときも動じない、愛想のない顔とは大違いだ。
「もうすっかり忘れてます。
それより最近は相沢さんのことばっかり考えてしまって困ってます。
どうしてくれるんですか」
そう言ってちょっと怒ってみせると、相沢さんは両手で私の顔を包みながらおでこに額を当てた。
「じゃあそのまま俺のことだけ考えてくれる?」
触れるか触れないか、ギリギリのところで動く唇がもどかしい。
「はい」
「恵、好きだよ」
「私も相沢さんが好きです」
「慶吾」
「え?」
「慶吾」
「……慶吾さん、好きで……んっ!」
言い終わるか終わらないかの所で口を塞がれ、同時にコーヒーの香りがする温かい舌が絡みついてくる。
優しい愛撫が段々激しく、息継ぎすら許さないものになっていく。
「はっ……んんっ……」
快楽の波に飲まれそうになり、思わず声を漏らすと相沢さんが唇をした。
「時間ないのに煽るなよ」
「なっ……」
ニヤリと笑う相沢さんに急に現実に引き戻され恥ずかしさがこみ上げてくる。
ずるい。そんな顔で見ないでほしい。
「ほら、そろそろ出るか」
そう言って私の頭にポンと手を置きながら、あぁそうだと思い出したように相沢さんは口を開いた。
「恵、きついときは周りを頼れ。
恵は何でも一人で抱え込む癖がある。新人のときからだけど、課長も心配してたぞ。
仕事を後輩に振り分けるのも仕事だ」
「はい……」
いきなり真面目な顔で真剣にそう言われると反論の余地がない。
「困ったときは俺を頼れ。
あと……もう一人で泣くな」
「はい、ありがとうございます……」
目の奥が熱くなる。
職場では誰にも迷惑をかけないように必死に頑張って、どうにか一人で立っていた自分が報われた気がした。
私を見てくれる人がいることがこんなに心強いなんて知らなかった。
一人で泣くなと言われて泣きそうになっている私を、相沢さんは温かい眼差しで見つめていた。
恥ずかしさを飲み込みながら身体に巻きつく手を払い、相沢さんに向き直った。
顔を上げると不安そうな顔が私を見下ろしている。
どんなときも動じない、愛想のない顔とは大違いだ。
「もうすっかり忘れてます。
それより最近は相沢さんのことばっかり考えてしまって困ってます。
どうしてくれるんですか」
そう言ってちょっと怒ってみせると、相沢さんは両手で私の顔を包みながらおでこに額を当てた。
「じゃあそのまま俺のことだけ考えてくれる?」
触れるか触れないか、ギリギリのところで動く唇がもどかしい。
「はい」
「恵、好きだよ」
「私も相沢さんが好きです」
「慶吾」
「え?」
「慶吾」
「……慶吾さん、好きで……んっ!」
言い終わるか終わらないかの所で口を塞がれ、同時にコーヒーの香りがする温かい舌が絡みついてくる。
優しい愛撫が段々激しく、息継ぎすら許さないものになっていく。
「はっ……んんっ……」
快楽の波に飲まれそうになり、思わず声を漏らすと相沢さんが唇をした。
「時間ないのに煽るなよ」
「なっ……」
ニヤリと笑う相沢さんに急に現実に引き戻され恥ずかしさがこみ上げてくる。
ずるい。そんな顔で見ないでほしい。
「ほら、そろそろ出るか」
そう言って私の頭にポンと手を置きながら、あぁそうだと思い出したように相沢さんは口を開いた。
「恵、きついときは周りを頼れ。
恵は何でも一人で抱え込む癖がある。新人のときからだけど、課長も心配してたぞ。
仕事を後輩に振り分けるのも仕事だ」
「はい……」
いきなり真面目な顔で真剣にそう言われると反論の余地がない。
「困ったときは俺を頼れ。
あと……もう一人で泣くな」
「はい、ありがとうございます……」
目の奥が熱くなる。
職場では誰にも迷惑をかけないように必死に頑張って、どうにか一人で立っていた自分が報われた気がした。
私を見てくれる人がいることがこんなに心強いなんて知らなかった。
一人で泣くなと言われて泣きそうになっている私を、相沢さんは温かい眼差しで見つめていた。