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第1章 レディスキッチン 園
 食事会を終えて、家族で帰宅した時、彩乃はそこそこ酔っていた。

 父親は満足そうだったが、母親は心配している。

「お父さん、飲ませ過ぎでしたわよ」

「なあに、オレの娘だ。心配するな」父親は上機嫌で言う。「娘と飲めるなんて、嬉しいじゃないか」

「そうでしょうけど、ほどほどにしておきませんと……」

「大丈夫、お母さん!」彩乃が言って敬礼をする。ちっとも大丈夫ではなさそうだ。「今日の事は忘れないわ!」

「そうだ、彩乃、忘れるなぁ!」

「はいはい、二人とも、もう寝てちょうだい」

 彩乃はふらふらした足取りで二階に上がる。

 母親が心配そうに下から見ていた。

 無事に部屋に入ったのを見届けると、ソファに座って鼾を立て始めた父親を揺り起こしていた。


 彩乃は部屋に入ると、大きく息を吐いた。

 からだは酔っているのに、妙に頭が冴えている。そして、繰り返しエイコや美和子やおばさまたちの姿が浮かんでくる。

 敷きっぱなしの布団の脇に、脱ぎ捨てたパンティとブラが散っている。今穿いているのもぐっしょりだ。


 ……やっぱり、わたしって、そうなんだわ……


 彩乃は改めて思った。


 ……わたし、女性が好きなんだわ……


 彩乃は一人うなずいた。


 ……明日、あのレストランに行ってみよう……

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