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第3章 美和子と彩乃

「……彩乃……」

　呼びかけられて、彩乃は目を開く。

　優しく微笑んでいる美和子の顔が一杯に広がっていた。

「美和子……」

　かすれた声で彩乃が答える。

「ふふふ……　疲れちゃった？」

　美和子は言うと、唇を彩乃のそれに重ねた。

　彩乃は目を閉じ、柔らかい美和子の唇を感じ取る。

　美和子はすっと唇を離した。

「軽くだけど、食事を用意したわ。リビングに来て」

　美和子はデニム地のエプロンをしていた。

「うん……」

　彩乃は言うと、のろのろと起き上る。

「先にリビングで待っているわね」

　美和子は言うと寝室を出る。

　その後ろ姿は、背中でエプロンの紐が交差している以外、何も纏っていなかった。

「うわっ、裸エプロン……」

　彩乃は思わずつぶやく。

　彩乃は散らかっている下着を取ろうとする。

　と、美和子が開いているドアから顔を出してきた。

「彩乃。そのままで良いから、来て」

「でも、何も着ていないわ」

「良いじゃない。わたしと彩乃だけなんだから」

「裸で食事なんて……」

「あら、恥ずかしいの？　わたしは良くやるけど？」

「そうなんだ……　一人暮らしだと出来るのね……」

「まあ、一人じゃない事も多いけどね」

　美和子は言うと、笑いながらリビングへと向かった。

「もうっ、美和子ったら！」

　彩乃も笑いながらベッドを離れる。