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新解釈 紺屋の女房
第7章 エピローグ
ある日、久蔵が反物を染めていると
その作業を見ていた高尾が
「なぜ、何度も染めやんすか?」と尋ねてきた。
「濃い藍色に染めるには
何度も何度も染めなきゃだめなんだよ」と親切に教えた。
だが、それがかえって高尾の疑問を深めた。
「薄くてはダメでありんすか?」
早染めは淡い色しか出ねえからな、
ほら、これが早染めだ。と言って
淡い青白の布地を見せた。
「綺麗でありんす、
夏の空のように澄んだ青が清潔でありんす」
染め職人は昔気質が多く、
色濃く染めねばならぬと思っていただけに、
淡い青色が綺麗だという発想を持っていなかった。
「ものは試しだ。
高尾、淡い色の反物を売ってみるかい?」
淡い青色の反物で着物をこしらえて、
それを高尾に着せて客の相手をさせたところ、
美人ゆえに、淡い青色が映えて、
早染めの反物が飛ぶように売れた。
瞬く間に染物屋「紺屋」は
江戸一番の大店(おおたな)にまで成長した。
「店が大きくなったから女中を増やさねばならない
誰ぞいい子はいないかねえ」
吉兵衛はポツリと呟いた。
それを聞いた高尾は「心当たりがありんす」と申し出た。

高尾が連れてきた女中は
なんと、お鈴であった。
久蔵は大歓迎した。
お鈴は久蔵と高尾の橋渡しをしてくれた恩人なのだから。
お鈴も高尾同様によく働いた。

丁稚見習いと言いながら
下男同様に紺屋に買われてきた久蔵、
口減らしのために遊郭に売られた高尾とお鈴、
三人は力をあわせて紺屋を繁盛させたのだから
人の未来など誰にもわからないものであると
後々まで語り継がれた。

仲睦まじい二人を見て
「あの2人は死ぬまで一緒だろう。
染屋だけに、あいしあう(愛し合う・藍しあう)ほど、
深ぇ仲だからな」と言わしめたそうな…

おあとがよろしいようで…



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