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JUN(ジュン) ~メールの恋人~
第5章 沖島の陰謀
結局、一睡もせずにがんばってみたが
完成にはほど遠かった。
翌日、提出できないことを部長に申し出た。
案の定、部長からは厳しい叱責を被った。
昨日に続いて連日の叱責だ。
これは卓也の経歴にかなりの汚点となるだろう。
「いいか!大杉君!
我々サラリーマンは結果がすべてだ!
わかっているだろう?いったいどうしたって言うんだ。
まったく昨日といい、今日といい…
私はね、君に期待してたんだ。なのに…」
部長の叱責に言い訳はできなかった。
ただ小さくなって「はい…」と繰り返すばかりだった。
「もういい、席に戻りたまえ。
今回の企画は昨日提出してくれた沖島君の企画を採用する」
しょぼくれて席に戻ると
背後から沖島が声をかけてきた。
「すまんな。悪く思うなよ」
続け様に耳元に小声で
「ちゃっかりお前のものをいただいたよ。
企画も彼女もな…」と囁いた。
なに?今なんと言った?!
話がある!ちょっと顔を貸せ!
卓也は沖島の腕を取り、屋上に連れ出した。
「いったいどういう意味なんだ!!」
血圧が上昇し、唇がわなわなと震える。
「どういう意味もなにも、
俺と美智子は出来ちまったってことさ。
ちょいと股座(またぐら)を突いてやったら
アンアンと喘いで、
俺に洗いざらいぶちまけたよ」
なんだと?なんだと~~~!!!
確かに俺は美智子に
今回の企画をうっかり話してしまったことがあった。
しかし…なぜ美智子と沖島が…
「腑に落ちないって顔してるな。
大体、お前があんな美人をほったらかしにして、
仕事にのめり込むからさ。
ちょいと声を掛けたら
ホイホイと尻を振って俺についてきたぜ!」
気付けば俺は沖島を殴り倒し、
会社を抜け出し美智子の家に向かっていた。