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見習いドS彼氏
第8章 『飼い主』
「荒井さん、今度の週末だけど」
「ごめんね。用事があるから」

ルックスに自信過剰な影山が声をかけてくると同時に奈緒は会話をシャットアウトした。
影山が次の言葉を選ぶ余裕すら与えず奈緒はさっさとその場を後にした。
入社当時は見た目も良くて仕事も出来そうな影山のことを奈緒も嫌ってはいなかった。
しかし相手構わず遊んでいる様子や不誠実そうな態度を知るに連れて嫌っていった。
何よりやたら自信過剰なところが嫌いだった。
恋人の智輝も負けずとイケメンだが自信過剰なところも、逆に自信なさげなところもない。
そんな自然体の智輝に惹かれていた。

「相変わらず彼氏一筋だねー、奈緒」

同僚の女子社員にからかわれ、奈緒ははにかむ。

「そりゃそうよ。なんていっても私の彼氏は世界一ですからっ!」
「はいはい。ごちそうさま」

照れながらも彼氏自慢をする奈緒に同僚も苦笑いで返す。
誰もが視線を奪われるほどの美人である奈緒だが、彼氏一筋という情報が流れてから言い寄る男性社員も減った。
それは奪ってやるという気概を失ったというよりは、愛らしい奈緒を困らせたくないという気遣いの面の方が大きかった。
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