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第8章 『飼い主』

「何が可笑しいの!?　ふざけないでっ!!　智輝に何かしたら……」

普段の奈緒からは想像も出来ない思い詰めた顔で奈緒は恩師であり元ご主人様の綾宮を睨んだ。

「何かしたら？」
「…………智輝に何かしたら、あなたを殺します……」

感情的な声でなく、低く恨めしげな声で奈緒は宣告した。

「ほう。それは恐ろしいな」

だが綾宮は子犬に吠えられた程度の顔をして笑う。
それが悔しくて奈緒は再び怒鳴り散らす。
ひとしきり脅し罵った奈緒を綾宮は平手打ちした。

「ッッ……」

叩かれても奈緒はきつい目付きで綾宮を睨む。

「いい目だ」

反抗的な態度に綾宮は満足げに笑った。