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見習いドS彼氏
第12章 トラップ
痛みに慣れて傷つかなくなることを成長と呼ぶ風潮が確かにある。
感情豊かなことはいつしか未熟とされ、磨耗した精神で無感動になることが成熟と尊ばれる。
そんなことに抗うこともやはり未熟さの表れだとしたり顔の奴らに嘲笑される。
奈緒のことを思い出すと胸が痛むがその痛みも時間が経つと少しずつ薄れるようで、それが智輝には罪深いことのような気がしてしまう。
それが奈緒への裏切り行為のように感じ、わざと感傷的な気分になろうとさえしてしまっていた。
残業の休憩時間の午後七時、智輝はカップのコーヒーを啜りながら奈緒のことを思い返していた。
「梶野さん。お疲れさまです」
「おっ栗林……お疲れ。まだ残ってたのか?」
留美を部屋に泊めた夜以降、智輝は意図的に彼女を避けていた。
留美の方もそれを察したのかあまり以前のように智輝に絡んでくることはなかった。
感情豊かなことはいつしか未熟とされ、磨耗した精神で無感動になることが成熟と尊ばれる。
そんなことに抗うこともやはり未熟さの表れだとしたり顔の奴らに嘲笑される。
奈緒のことを思い出すと胸が痛むがその痛みも時間が経つと少しずつ薄れるようで、それが智輝には罪深いことのような気がしてしまう。
それが奈緒への裏切り行為のように感じ、わざと感傷的な気分になろうとさえしてしまっていた。
残業の休憩時間の午後七時、智輝はカップのコーヒーを啜りながら奈緒のことを思い返していた。
「梶野さん。お疲れさまです」
「おっ栗林……お疲れ。まだ残ってたのか?」
留美を部屋に泊めた夜以降、智輝は意図的に彼女を避けていた。
留美の方もそれを察したのかあまり以前のように智輝に絡んでくることはなかった。