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第13章 対決

股間を切断された人間というのは解消できない欲求の為、異常な性欲に走るという通説がある。
異常な性犯罪を犯した犯人にそういった人物が多いからだ。
綾宮はそれを言われるのを恐れているのが智輝にも分かった。
そして智輝はそのことを口に出さなかった。

それは綾宮が恐ろしかったからでもなく、綾宮に同情したからでもなかった。

もうこの勝負は自分が勝ったとわかったからであった。
勝負がついているのにこれ以上相手を貶めることも攻撃する必要もない。

「行こう、奈緒」
「…………うん」

二人は振り返らずに部屋を出た。
綾宮はなにも言わず二人の背中を見送る。
智輝が背中に感じた視線は、しかし、殺気に満ちたものではなかった。