この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
私は管理人
第6章 久孝さんと玲子さん
もともと大野さんが入居していた部屋が空室になり
移り住んだのがカメラマンの吉岡だった。
だが、彼は女癖が悪く、
ちょっとしたきっかけでわたしのヌードを撮影してから、その画像をネタにお金の無心をするようになりました。
お金が払えないとなると
わたしの体を求めはじめたのです。
このまま吉岡の餌食になってしまうのかと
精神を病みかけたわたしを救ってくれたのが
先の住人であった大野さんでした。
大野さんは故郷に再婚した女性がいるのですが
月に一度だけ上京してきて
わたしを愛してくれる事になりました。
今度の逢瀬まで、まだかなりの日数があって
気が滅入りそうでしたが、
落ち込む暇もなく管理人としての慌ただしい日々を過ごす必要がありました。
その要因というのが
カメラマンの吉岡が去ったあとに入居してきた
脇坂玲子さんというご婦人のお世話でした。
初めて東京で暮らす彼女は
右も左もわからない有り様でしたので
管理人として、いろいろと彼女の面倒を見てあげる必要がありました。
「あら、管理人さん、おはようございます」
廊下掃除はわたしの仕事だから必要ないのよと教えてあげたのだけれど、
今までの生活の習性でついつい廊下を掃除し始める玲子さんでした。
今朝もこのように廊下を掃きながら
わたしにとびっきりの笑顔で挨拶をしてきました。