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私は管理人
第8章 ホストの向井くん
次の日の夜、
わたしは久方振りの外出です。
ちょっとだけおめかしして胸元がかなりオープンのワンピースを選びました。
「いらっしゃいませ…
ご指名はございますか?」
受付でそう言われたので
「あの~…向井さんを…」と指名したのですが
「えっと…」
受付の男性は困った顔をして
お店の奥に向かって
「お~い、向井って誰だっけ?」と尋ねました。
「は~い!僕です!
ケンですぅ~!」と大きな返事と共に
向井くんが出迎えに来てくれました。
「向井くん、下のお名前ってケンっていうのね」
わたしは向井くんに案内されてボックス席に腰を下ろして向井くんにそう尋ねました。
「いやだなあ~、源氏名ですよ
僕の本名は向井宗一郎です」
「えっ?そうなの?
でも、宗一郎って古風なお名前ね」
「でしょう?
この名前だと絶対に指名などかかりませんよね」
そう言って向井くんは見せたことのない爽やかな笑顔でわたしを魅了しました。
「さあ、今夜は僕の奢りです
ジャンジャン呑んじゃってくださいね」
じゃんじゃん呑めと言われても
わたしは下戸なので
ワインをグラスで二杯いただいただけでぐでんぐでんです。
「管理人さんってお酒が弱かったんですね」
飲ませて悪かったと向井くんは平謝りです。