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私は管理人
第9章 夫婦の危機

たぶん主人は寝ているはず…

そう願って、わたしはドアにシリンダーキーを差し込み、なるべく音を立てないように注意を払いました。

ゆっくりとキーを回したにも関わらず
解錠の際にはカタン!と大きな音がして…
皆が寝静まっている時間の真夜中ですから
普段は気にもとめない解錠の音が
シーンとしている空間に
それこそ大音響のように響いてしまいました。

部屋は真っ暗でした。
『よかったわ…
やっぱりいつものように爆睡してくれているのね』
わたしはホッとして靴を脱いで部屋に上がろうとしました。

その瞬間!
パッと廊下の灯りがともり、
奥の部屋から主人が鬼の形相でわたしを出迎えました。

「何時だと思っているんだ!」
こんな怖い主人の声を聞くのは初めてです。

「ごめんなさい…
ついつい遊び過ぎて時間を忘れてしまったの」

「明日も早いんだからほどほどにしないと体を壊すぞ」

良かった…
主人は、いつもの優しい口調に戻ってくれました。

しかし…

わたしが主人の横を通りすぎる瞬間、
「ちょっと待て!」と
再び怖い声に引き留められました。

「なに?」

「お前…浮気してきたな?」

ドキッとしましたが
あくまでもシラを切るつもりで
「なんの事かしら?
わたし、浮気なんかしていないわ」と
平静を装いましたが
嘘のつけない性分ですので
語尾が微かに震えてしまいました。


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