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月一回、ほとばしる熱情
第1章 キッチンから始まった
 付き合っていた時は毎週あった。結婚してからしばらくも。気づけば、週に一回が二週に一回になり、月に一回となっていった。
 私から誘えば、夫は頑張ってセックスをしようとしてくれる。でも、私は夫から求められたい。しかし、そんなことをいっていては私の性欲は満たされないままになってしまう。だから、週に一回は深く触れあいたいと誘っていた。けれどなんだか無理をさせているような気がして私から誘うこともなくなっていった。
 夫は元々あまり性欲が強い方ではない。しかし例外があって、月に一度くらいはムラムラとするらしく、その時は私を激しく求めてくれる。この日ばかりは普段からは考えられない程、性欲が旺盛に見えるし、私を存分に満たしてくれる。
 そんな日があるから普段どれだけ夫とセックスしたくなっても我慢ができるようになった。
 前回からひと月がたとうとしている。きっと明日には……。そんな期待を胸に、身体をうずかせながら一日一日を過ごしていた。

 十一時過ぎ。昼食の用意をしようとキッチンに立ち、鍋に水を入れ火にかけた。
 パスタを作ろう。冷凍しているミートソースを温めて、パスタに絡めて。焼きナスとチーズをかければ十分かな。後はインスタントスープを添えればそれなりに見映えがするだろう。
 冷凍庫からミートソース、冷蔵庫からナスを取り出して、包丁とまな板を準備する。
 ナスを水洗いし、へたを取って輪切りにしていく。
 こんこんこんとリズムよく切る音に混じって、階段を下りてくる足音が聞こえてきた。
 起きたのかな? 今日は早いな。
 そんなことを思いながら、残りのナスも切っていく。
「ゆりー、今日はパスター?」
 甘えた声を出しながら控えめに夫が腰に手を回してきた。普段夫は包丁を扱う私に触れたりしない。おっ? と思い、早くも膨らみ始める期待を冷静に抑えようとする。
「そうだよー。ミートソースすぐできるからね」
 そう答えていると腰の辺りにぐりぐりと硬いものを押し付けられる。
「やったー。でも、ゆりを先に食べたいかな……」
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