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契約的束縛・過ぎ来し方(すぎこしかた)のメモリー
第3章 メモリー仁科

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急遽決めてしまった日本行、イェンフゥイはともかくライランのほうは説明が一苦労。どうやらライランは東条海里の噂程度は知っていたらしく日本のことには難色を示し、香港に留まらないかと何度も繰り返した、多分コンラート・ゼクスとして行くと思ったのも大きいとは思う。それを説き伏せたのは私、日本は観光程度の滞在で欧州に戻ることになる、これでなんとか通してしまった。
思っていたより手こずったがようやく日本へ入国、入る際コンラート・ゼクスの外交特権を使ったがそれから先はこちらのもの。イタリア大使館……その地下の支部、ここに来てから私は姿を完全に仁科悠人のほうへ、金髪姿は日本にいる限り一切出さないつもり。
(ここが日本、近代化はしてますが塵一つなく穏やかな雰囲気)
時々大使館を抜け出してはラフな格好で街を歩く、大きな建築物などは他の国とさほど変わらないが一歩中に入れば私が知りたかった日本の世界が広がる。確か……下町と呼ばれる区域そう読んだ本に書いてあった、本の中だけですが。雑然とした店が並んでいたり、木造の日本独特になる建物が並ぶ場所、観光地化はされていても統一性がありそうでない商店街、どれを見ても飽きることはなく逆になんというのだろうかある種の懐かしさを感じるほど日本は私に馴染む不思議なほどに。

